突然ですが、鏡の前でご自分のお腹を、ちょっとご覧になってみてください。
どうでしょうか。ひょっとして、ポッコリしていませんか?
「メタボリックシンドローム」略して「メタボ」。
この言葉を、みなさんも一度は、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
過去に厚生労働省が行った全国調査では、40歳から74歳の男性で2人に1人、女性は5人に1人がメタボリックシンドローム、あるいは予備軍という結果が出ています。
近年は健康ブームとうたわれていますが、食の外部化や、運動不足なども手伝ってか、日本人のメタボ患者は後を絶ちません。
数年前にはテレビや雑誌など、多くのメディアで取り上げられていました。
現在でも、その言葉だけが一人歩きして、
太っている=「メタボ」
という印象が根付いているようです。
決して間違いではないのですが、メタボリックシンドロームと診断されるには、いくつかの要因があります。
どのように関わっているのか、これから詳しくご紹介していきましょう。
目次
中性脂肪が高いと言われたらメタボの可能性も急浮上!メタボの意味とその危険信号
単にお腹周りが大きいだけでは、メタボリックシンドロームとはいわれません。
では、どのような状態をいうのでしょうか?
どんな状態?メタボリックシンドロームとはあなたの生活習慣から届いた危険因子の詰め合わせギフト
肥満と一口に言っても、2つのタイプがあります。
「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」です。
内臓脂肪型の肥満は男性に非常に多く、皮下脂肪型の肥満は女性に多いと言われています。
メタボリックシンドロームで問題視されるのは、前者の「内臓脂肪型肥満」になります。
それはメタボリックシンドロームが、別名「内臓脂肪型症候群」と呼ばれるいわれです。
特長としては、お腹がポッコリ出た、りんご型の体型です。対する皮下脂肪型肥満は、腰回りやお尻、太ももなどの下半身を中心に脂肪がたまる、洋なし体型が特長です。
あなたの体型は、どちらに近いですか?
近年、日本人の肥満者が増えているようです。
肥満のうちでも、ポッコリお腹の内臓脂肪型肥満が、動脈硬化を進める一因であることがわかってきました。
内臓脂肪の蓄積があれば、糖尿病や高血圧、高脂血症などが起こりやすくなります。さらに、これらの要素が増えるごとに、動脈硬化を促進させる危険度が高まります。
この複数の危険因子が重なった状態が、メタボリックシンドロームです。
これは心筋梗塞や脳卒中など、動脈硬化性の疾患を起こす確率が、非常に高い状態にあることを示しています。
それは他でもなく、あなたの生活習慣が引き起こした結果なのです。
つまり、たるんだ生活習慣を変えさえすれば、簡単に解消できるということです。
中性脂肪とメタボの関係とは?診断項目の一つである中性脂肪
メタボリックシンドロームと呼ばれる危険因子の一つに、「脂質代謝異常」なるものがあることをご紹介しました。これは、高コレステロールと、高脂血症いわゆる「中性脂肪」のことです。
中性脂肪は血液の中でたんぱく質と結合し、リポ蛋白リパーゼ(酵素)となって運ばれます。その酵素にて、いったん分解されて細胞内に吸収されます。
細胞内でエネルギーとして使われなかったものが、再び中性脂肪に合成されるという仕組みです。
その残った中性脂肪が、皮下脂肪として合成されるのか、内臓脂肪として合成されるのかが運命の分かれ道です。
このように、中性脂肪はメタボリックシンドロームと相互作用の関係にあるといえます。
メタボリックシンドロームの診断基準を知る?メタボの診断項目を患者様に
上記の通り、診断項目の一つ一つが、危険因子になります。
しっかりチェックをしましょう。
①内臓脂肪を蓄えたお腹を判定!
それでは、メジャーのご用意を。ウエストではなく、おへそ周りをはかります。
腹囲基準値……男性は85cm以上、女性は90cm以上です。
測り方:立って力を抜き、軽く息を吐きます。メジャーはおへその高さに合わせます。メジャーがねじれないように慎重に計測してください。
基準値以上の場合は、内臓に中性脂肪がたまっている「内臓脂肪型肥満」の可能性があります。
②3つのうち2つ以上あてはまるかどうか
脂質異常……中性脂肪値が、150mg/dl以上か、HDLコレステロール値が、40mg/dl未満。
または、その両方。
高血圧……収縮期血圧が、130mmHg以上か、拡張期血圧が、85mmHg以上。
または、その両方。
高血糖……空腹時血糖値が、110mg/dl以上。
①と②に当てはまる人はメタボリックシンドロームである
腹囲が基準値を上回り、なおかつ脂質異常・高血圧・高血糖のうち、2項目以上に該当する場合は、メタボリックシンドロームの疑いが高いです。また、1つあてはまるという方は、予備軍の可能性があります。
病院で正しい検査を受け、医師の指導を仰ぎましょう。
危険因子が重なるとリスクがアップ 家族の心配事“ポッコリ”膨らむ
上述の通り、動脈硬化を進行させる危険因子には、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症があげられます。
これらの危険因子は、それぞれ単独でも動脈硬化を促します。
たとえ一つ一つの程度が軽くても、二つ、三つと増すごとに、動脈硬化によって引き起こされる病気の危険は高まるのです。
それはつまり、命の危険が高まるということです。
図のように、危険因子が1〜2つ増えると、心疾患の発症率は、およそ5倍に。3〜4つでは、実に、35倍に跳ね上がります。その差は歴然ですね。
メタボリックシンドロームが引き金となって起こる主な病気には、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、脳血管障害、虚血性心疾患、腎臓病、高尿酸血症、がん、認知症などがあります。
まとめ
いかがでしたか?
普段、自分では、わりと元気なので病気のことはあまり念頭にありません。
生活習慣が好ましくない現状もわかってはいるのですが、なかなか重い腰が上がりません。
しかし、この間にも体の中では、病気がどんどん進行しているのです。
もう一度、声を大にして言いましょう。
「メタボリックシンドロームの最大の危機は、手遅れになるまで症状がほとんどないことです!!」
想像してみてください。
ある日、何の前触れもなく、大切な人が病によって命の危機に立たされる──残される家族の気持ち。
運良く助かったとしても、家族の重荷になる障害が残る。
その苦労は計り知れません。
幸い、内臓脂肪は、皮下脂肪より比較的落としやすい性質をもっています。
今すぐに生活習慣を改めれば、メタボリックシンドロームの症状は、目に見えて解消されるのです。
一般的にいわれる改善策としては、食生活の見直し、運動、タバコやアルコールを控える、もしくは止める、ストレスをためないなどです。
この他に有効なのは、「笑い」です。
お笑い番組やコメディー映画、漫画など、生活の中に自分の好きな「笑い」を取り入れてみましょう。
大切なのは続けることです。
人生は何度でもやり直しがききますが、命は一つきりです。
ひとつ数値の改善を励みに、今より一回り小さいポッコリお腹を目指して、じっくり取り組んでみませんか?