あなたの中性脂肪の値はいくらですか?「わからない」「健康診断で調べたけど覚えてない」という人は1度確認してみた方がいいかもしれません。
なぜなら中性脂肪値は生活習慣病の判断基準に大きく関わるからです。
生活習慣病はその名の通り、あなたの生活習慣にとっても密着した病気です。そして発症をすると、あなたの今後の生活に影響を及ぼす怖~い病気でもあります。
この機会に生活習慣病について学んでみましょう!
目次
生活習慣病を学ぶこと 元気!やる気!健康の第一歩になる
- 偏食
- 運動不足
- 喫煙
- 過度の飲酒
- ストレス・・・
「ドキッ」としたあなたは生活習慣病予備軍かもしれません。
生活習慣病は様々な要因が複雑に絡み合って発症します。もともとは生活の中の不摂生、例えば野菜が嫌いだったり、仕事の付き合いで深夜まで飲酒をすることが多かったり…。
些細なことですが、こんなことがきっかけで生活習慣病になりやすくなります。
種類を解説!生活習慣病
では、生活習慣病とは具体的にどういう病気のことなのか改めて見ていきましょう。
生活習慣病には全身に及ぶ様々な病気が含まれますが、生活習慣病への第1歩ともいえる、代表的な「死の四重奏」と呼ばれる4つの病気をご紹介します。
加えて同じように生活習慣と密接な関係にあって、さまざまな病気を引き起こす動脈硬化についても触れていきたいと思います。
これらの病気はすぐに症状は出ませんが、じわじわと確実に体を蝕んでいくものです。しっかり覚えておきましょう。
高血圧
高血圧は血液が血管の中を流れる際に、血管の壁にかかる圧力が強い状態を示します。
血圧が高くなると動脈硬化を促進し、やがて脳出血や心不全・眼底出血・腎不全などさまざまな病気をもたらす要素となります。
脂質異常症
「脂質異常症」というと、血中の脂質が異常に増えている状態のことをイメージする人が多いかと思いますが、実際には必要な脂質が不足している場合も脂質異常症に含まれます。
脂質異常症になると血管を傷つけて動脈硬化への可能性が高くなるため、注意が必要です。
糖尿病
血糖値はインスリンなどのホルモンによって空腹時には80~110mg/dLの範囲内に保たれるのが通常ですが、糖尿病はこの値が異常に高くなる病気です。
口や喉の渇きやトイレの回数が多くなる多尿の症状が現れる場合がありますが、初期の場合は本人に自覚症状はあまりありません。
糖尿病が恐ろしいのは網膜症や腎症・神経障害・手足の壊死など、全身に影響が及ぶ合併症を引き起こすからです。
肥満
「太ってないから大丈夫」と安心してはいけません。身長に対して体重が多いのはもちろん、体脂肪が多い状態も肥満の状態に含まれます。
日本では肥満かそうでないかを体重kg÷(身長m)2という計算式で算出されるBMI値を元に診断しています。日本人はこのように分類されます。
BMI値 | 分類 |
---|---|
18.5未満 | 低体重 |
18.5以上25未満 | 普通 |
25以上 | 肥満 |
また、肥満には内臓の周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満と、皮膚の下に脂肪がつく皮下脂肪型肥満の2つがあります。
内臓脂肪型肥満は男性に多く、皮下脂肪型肥満は女性に多いというのが特徴です。
内臓脂肪が病気を誘発悪化
肥満の何がいけないのかというと、特に内臓脂肪型肥満は先ほど紹介した高血圧・脂質異常症・糖尿病など、様々な病気を悪化させてしまいます。
見た目の問題では終わらないからこそ、肥満は改善する必要があるんです。
動脈硬化
これまでに何度も文章中に登場していますが、動脈硬化も生活習慣病の1つであり、さまざまな病気を引き起こす厄介者です。
ボロ血管
血管は加齢とともに柔軟性を失います。しかし中性脂肪値や血圧が高くなるとますます血管は硬くなりボロボロになります。それが動脈硬化です。
特に脳卒中や心臓病などを引き起こすと、まひが残ったり、死に至ったりする場合があるので決して侮ってはいけません。
これらの5つをはじめとして、生活習慣病は実にたくさんの病気が複雑に絡み合い。お互いがお互いを悪化させ合う悪循環を招いている状態です。
それぞれの項目でも紹介していますが、放置していると本当に危険です。
中性脂肪と生活習慣病の絶ちがたい関係 お互いを語らずしてどうして核心に触れられようか いや触れられないだろう
日本でのメタボの診断基準はこちら。
- ウエスト
男性で85cm以上
女性が90cm以上 - 2つ以上当てはまること
脂質代謝異常・高血圧・高血糖
ウエストのサイズで「内臓脂肪の面積で男女ともに100㎠に相当する」かどうかを判断しています。内臓脂肪、蓋を開けてみれば中性脂肪の塊です。
中性脂肪の溜まり具合をみているといっても過言ではありません。
メタボを設けた理由
メタボの診断基準は内臓脂肪を減らすことで脂質や血圧、血糖の問題を改善し、そしてやがて起りうる脳卒中や心臓病などを防ぐためのものです。
そのためにまず、ウエストのサイズを診断基準の大きな項目としているんです。
内臓脂肪の脂肪細胞から出る生理活性物質が生活習慣病にいざなう
内臓脂肪の脂肪細胞からはアディポサイトカインという生理活性物質が分泌されています。
このアディポサイトカインにはいくつか種類があり、善玉のアディポサイトカインと悪玉のアディポサイトカインの2つに分けられます。
内臓脂肪から分泌される 善玉悪玉とは?
善玉のアディポサイトカインは動脈硬化や血糖の上昇を抑制しますが、悪玉はその逆の役割を果たします。内臓脂肪が蓄積していくと、それに比例するように悪玉のアディポサイトカインが増殖して、生活習慣病への第1歩を踏み出します。
このメカニズムをもう少し詳しく見ていくことにしましょう。
内臓脂肪から脂肪酸が大量に放出 中性脂肪の増え方が尋常でなくなる
内臓脂肪がたまると脂肪細胞が大量の遊離脂肪酸を血液中に放出します。肝臓ではこの脂肪酸を元に中性脂肪を合成し、再び血中に放出しています。
肝臓に送り込まれる脂肪酸の量が膨大になると、肝臓で血中に中性脂肪を放出する作業が永遠に続けられるわけですから、尋常じゃない血液検査の結果が届くということです。これが脂質異常症ですね。
内臓脂肪は高血圧増進運動の首謀者である
内臓脂肪の脂肪細胞からはアディポサイトカインの1種であるアンジオテンシノーゲンという物質も分泌されています。このアンジオテンシノーゲンは体内を循環してアンジオテンシンⅡに変化します。
アンジオテンシンⅡに変化すると、末梢血管収縮作用をもち副腎皮質でつくられるアルドステロンという物質の分泌を促進します。アルドステロンは血圧を上昇させる作用をもっているため、結果として高血圧の一因となります。
内臓脂肪はインスリンの働きを封じ込める 高血糖にまっしぐら
内臓脂肪は血糖値の上昇を穏やかにするインスリンにも作用します。
TNF-αの分泌量が増える
TNF-αも脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの1種で、血液中にインスリンが十分にあるのに働かない状態にしてしまいます。
そのため、本来なら各細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われるはずの糖の利用が減ってしまい、血糖値が高い状態が続くのです。
アディポネクチンの分泌が減る
脂肪細胞からは悪い物質だけではなく、良い物質アディポネクチンも分泌されています。これが善玉ですね。アディポネクチンは高血圧によって傷ついた血管を修復したり、インスリンの感受性を高めて高血糖を防いだりします。
しかし、残念なことにこのアディポネクチンは内臓脂肪が増えてしまうと、分泌量が減ってしまうので、今まで防いでいた高血圧や高血糖に虚しくも歩き出すのです。
カタカナやアルファベットの難しい物質がいろいろ登場しましたが、まとめると過剰に身体についた内臓脂肪は、良い作用をしてくれていた物質の分泌を減少させ、逆に悪い作用を持つ物質の分泌を増加させてしまうので、高血圧や高血糖など生活習慣病の手助けをしてしまうんです。
まとめ
日本人は世界的に見ても長寿国であることはあまりにも有名です。でもせっかく長生きをしても、それがベッドの上での生活だとしたら…?
日本は医療が発達していますが、生活習慣がもとになって端を発した病気は根気強く、とことんお付き合いをすることになります。
どうせ同じように長生きをするなら好きなことをして、おいしいものを食べて、楽しく希望に満ちた生活をしたいですよね。
生活習慣病は毎日の小さな習慣の積み重ねです。1つ1つは些細なことかもしれませんが、長年積み重なると将来的には必ず命にかかわる病気へと発展します。すぐには重篤な症状をもたらしませんが、じわりじわりと確実にあなたの身体をむしばんでいるんです。
健康診断も毎年受けている人がほとんどだと思いますが、結果の用紙にきちんと目を通していますか?理想の将来を送るために。
そのためにまずは自分の体を知って、身近な食生活や運動習慣、喫煙やアルコールの摂取など、小さなことから見直しをしてみませんか?